開 催 日: | 2016年4月6日(水) AM10:00~PM4:30 |
場 所: | アットビジネスセンター池袋本館 802号室 |
参加人数: | 11人 |
内 容: | 午前の部: 藤井龍磨先生による臨床発表(3例)と実技練習 (パニック障害・不安神経症・強迫性障害・うつ病など) |
内 容: | 午後の部: 臨床上における疑問などの質疑応答 (主に鈴木直人先生による回答とアドバイス) |
レポート作成者: | 自律神経臨床研究会 |
今回は初めて池袋で「うつセミ復習会」が行われました。
うつセミ復習会に、今回が初参加の方3名を迎えての開催となりました。
□午前の部
八千代台整体院院長でおられる藤井龍磨先生が、
不安障害の臨床報告をしてくださいました。
自律心体療法や「うつセミ」で習ったことに加えて、
藤井先生自身で創意工夫されたことで、時間は掛かっても効果が
出てくるようになったということ。
まず、不安障害とはどういうものなのか?という説明から始まりました。
その他に、パニック障害なども含め不安障害に分類される10種類の説明。
・パニック症、パニック障害
・広場恐怖症
・全般性不安障害(GAD)=以前は不安神経症
・社会不安障害、社交不安障害、(社交恐怖)(SAD)
・心的外傷後ストレス障害(PTSD)
・強迫性障害(OCD)
・分離不安症、分離不安障害
・選択制緘黙(かんもく)=場面緘黙症
・限局性不安症
不安障害は原因には、明らかな場合とそうでない場合があるということ
不安障害の共通点
自律神経と不安障害の関係
不安障害は環境が絡む可能性がある
不安障害の種類はそれぞれあるが、行動や心理面で共通点がある話
メンタル面においては、不安は繰り返すうちに慣れてくるが、
不安障害では繰り返しても慣れにくく、改善しないという特徴が
ある話がありました。
臨床例① パニック障害・不安神経症・自律神経失調症 30代女性 会社員
来院当初の症状と藤井先生の診たてを
どのように判断したのか、実際の施術の紹介と、不安や恐怖、
特に予期不安の緩和するためにどのように指導したのか、
そして経過説明とともに藤井先生の見解をお話しされました。
重要だったのは、この方に対して専門知識の提供と発作に対しての
コントロール法の指導を行ったこと。
認知行動療法を行うことで、時間は掛かっても症状は鎮静化してきたこと、
不眠の症状が出たときの不眠対策を伝えた話。
そして茨城県守谷市で「ひろカイロ整体院」院長の滝本裕之先生が
昨年11月のうつセミレベルアップセミナーの2日目に発表されました
セロトニン活性療法を実践したこと。
セロトニントレーニングを指導したが、それを実践してもらったことも
良かったとのこと。
この方に対しては、初診時の態度が悪く一歩間違うと
クレーマーになりうるタイプだったので、威厳と専門知識を
前面に出したこと。
認知行動療法的なアプローチを自身で行ってもらうことの
重要性を説いて、やらなければ良くならないという自己責任があることを
ハッキリ伝えたこと。そうすることで、トラブル防止の伏線も同時に張ることが
大事だということを教えていただきました。
臨床例② うつ病・パニック障害・自律神経失調 46歳男性 会社員
症状と発症時の状況説明と藤井先生の診たて、この方に
対しての施術の紹介と、藤井先生が指導した内容を実は守っていなかったこと。
その後、約1年の来院がなかった症例の紹介から始まりました。
1年後に再来院された際の藤井先生の対応と、
再来院後は藤井先生の指示を出来る範囲で
やってもらえるようになったことで、
1年前と違い徐々に状態も良くなってきた報告を
していただきました。
臨床例③ うつ病・強迫性障害・妄想・不安神経症・パニック障害 40歳女性
まず、症状と発症時の状況、藤井先生の診たて、実際に行った
施術の話とその経過を説明されました。
1~3ヶ月までの経過、4ヶ月目に盗難事件があり、それ以後大変な状況になったこと。
5ヶ月目に、症状が良くなったり元に戻ったりしていたので、藤井先生が
この方に伝えたことを守っているのかを問いただしたところ、指導したトレーニングを
やっていなかったことが判明。
この時に良くなる気があるのかを再確認された際、「真剣にやる。」と
泣きながら訴えてきたので、治療継続することになったが・・・
6ヶ月目になっても、あまり藤井先生の忠告を守っていないので、
「これ以上好き放題やるなら、今後は診れない」旨を伝えたところ、
「今度こそ本当にやる。」と再確認。
7ヶ月目に病院でマイスリーが処方されたので服用を勧めた話をされ、
それから17ヶ月目までの経過報告をしていただきました。
途中休憩を取りましたが、参加された先生からは、
「大変な患者さんですね~。」「(藤井先生は)スゴイですね~。」という
声があちらこちらから聞かれました。
藤井先生自身は、どんなに指示を守らなかったり、症状が芳しくなくても
諦めなかったこと、滝本先生から学んだセロトニン活性療法やセロトニンの
仕組みを応用したこと、客観視と自己肯定感の向上のために認知行動療法を取り入れた、
これら総合的アプローチが効果を生んだとの報告でした。
この症例報告後には、先の報告では
端折りましたが、患者さんが来院時から
辿ってきた経緯を聞くにつれ、
感銘を受けた先生も
多数いらっしゃいました。
この40歳女性が回復したのは、
ご家族やご主人のサポートがあったことも
重要だったことも挙げられていました。
藤井先生自身、時間は掛かっても、
うつ病やパニック、不安神経症、
強迫性障害に対して一定の対応が
確立できたと説明をしていただきました。
臨床報告3例の発表後に、質疑応答があり、藤井先生が臨床で行った
テクニックの1つを公開していただき、参加者の先生方でペアになって
練習していただきました。
□午後の部
午前中の藤井先生の臨床報告を受けて、鈴木直人先生によるさらに
掘り下げた説明とアドバイスをしていただきました。
その後、質疑応答の時間になりましたが、今回もお忙しい中オブザーバーとして
参加していただきました、鈴木直人先生が主に回答とアドバイスを
いただける貴重な機会に、参加された先生は様々な質問がされていました。
その内容のいくつかを紹介しますと、
○横隔膜が緊張するときは、上がることが多いのか下がることが多いのか?
○肩こりなどの症状でも通常の整体よりも自律神経の
整体の方が良いと判断した場合、どのように考え、患者さんに
伝えるようにしているのかなど。
鈴木先生からアドバイスをいただきました。
簡潔に書きますと、患者さんの意志を尊重すること。
その上で伝えるべき情報は伝えること。
時期が来なければ、どうしようもないこともあるという話をしていただき、
院内でタブーなことを作ってはいけない(例えば、お金の話など)、
『こんな話をしてはいけないんじゃないかということをなくす』
という経営にも関係するアドバイスも再確認をさせていただく機会にも
なりました。
途中休憩を取りましたが、熱心に鈴木先生に質問を
されている複数名の先生が
いらっしゃいました。
休憩時間中の方が、質問されている先生が
多かったですね(笑)
熱意を持たれた先生方が
多いことの表れだと思います。
休憩後は、どちらかというと経営に関する内容の
質問が多かったように感じました。
そのいくつかを紹介させていただきます。
○症状の変化が乏しい患者さんに対して、術者自身が心苦しくなってくることが
あるが、皆はどう考えているのか。
この質問に対し参加された先生方から様々な意見が出てきて、
参考になった先生、再確認をする機会となった先生などいらっしゃったの
ではないかと思います。
ここでも、鈴木先生の見解をいただき、対処能力・情緒的サポート
・自己尊重感・体力などのお話をしていただきました。
○治療においての変化を出すというのは、どういうことをされているのか?
という質問もあり、これも参加者の心構えや鈴木先生の考え方や
実践例を紹介して頂きました。
○患者さんとの状態を確認するために(問診)コミュニケーションを
取っているときの困った事例と相談。
患者さん:「腰が痛い」
術者 :「腰のどこが痛いですか?」
患者さん:「だから腰が痛い(怒)」
術者 :「どのように痛いですか?」
患者さん:「だから腰が痛い」
といった感じで、情報が出てこない状況でどのようにすれば良いのか?
という内容の事も質問に出ていました。
鈴木先生の回答をその後頂きましたが、限られた情報の中でやっていく。
患者さんには「プロなので対応するが、情報が多い方が効果は大きくなり
、少なければ効果が小さくなる」旨を患者さんに理解できるように説明することが
大事というお話でした。
○あと元プロ野球選手の清原和博氏の話題も出ました。
鈴木先生の見解と麻薬を使うことで生じる、使用者の感情や
感覚についてのお話があり、痛みや不快などの感覚をきちんと感じることが
大事であるということをお話ししていただきました。
午後の質疑応答の内容は、今現在リアルに参加された先生方が
悩まれていること、これはどうなんだろうか?など疑問に
思うことを声にしていただきました。
以前に聞いたことがある内容や、以前聞いた内容よりも
グレードアップしている内容があり、今回参加された先生は、今後の参考に
なったのではないかと思います。
多くの質問に答えていただいた鈴木先生、ためになる内容を
ご教授いただき、ありがとうございました。
また、質疑応答していただいた先生方にも感謝申し上げます。
うつセミ復習会後の懇親会では、それぞれの先生方で親交を深めている様子でした。
今後も「うつセミ復習会」を開催していく予定でおりますので、
よろしくお願いいたします。
自律神経臨床研究会一同